

変形性膝関節症





当院の治療の特徴
若い方から中高年の方まで。
変形性膝関節症の全ての手術に関わってきた経験を元に、
適切な診療方針を提案。

変形性膝関節症の治療といってもその治療法は多岐に渡ります。そしてそれぞれの治療法の適応は患者様の年齢だけでなく、早期の職場復帰を目指すのか、スポーツをしたいのか、など個々の要望によって変わってきます。
院長はこれまでスポーツ選手の膝関節靭帯損傷・半月板/軟骨損傷の手術から変形性膝関節症の人工関節置換術の手術まで、若い方から中高年の方まで幅広く膝関節疾患の治療に携わってきました。その経験を活かして、画像だけをみて治療方針を決めるのではなく、患者様個々の要望に合わせた治療を心がけています。
その中でも変形性膝関節症については、関節鏡視下手術・膝周囲骨切り術(HTO)・人工関節単顆置換術(UKA)・人工関節全置換術(TKA)の全ての手術に携わってきた経験を基に、自信をもって適切な治療方針を提案できると自負しております。治療方針について迷っている患者様は一度受診して下さい。
変形性膝関節症とは?
膝関節は、「半月板」「軟骨」というクッションにて守られることによって骨と骨がぶつからずスムーズに動くことができます。
変形性膝関節症は、その半月板・軟骨がすり減ったり傷ついたりすることで痛みや腫れ、変形が起こる病気です。以下に詳しく説明していきます。
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どのくらい多い病気?
日本では、40歳以上の約54%がX線診断で変形性膝関節症を認め、女性は61.5%, 男性は42.6%といわれています。(ROAD Study; 日本で行われた大規模疫学調査) 17 そのうち、痛みを伴う人は約11.6%で、女性は19.0%、男性は6.0%とされています。
- X線で異常があっても、全員が痛みを伴うわけではない
- 画像上の変化とは必ずしも一致しないことが多い
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どうして起こるの
(変形性膝関節症の原因)?-
1年齢の影響
年齢とともに関節軟骨は徐々にすり減ります。40歳代から軟骨の摩耗が始まり、60歳を過ぎると多くの方に変化が見られます。特に女性は閉経後、女性ホルモンの減少による骨や軟骨の弱体化が影響します。
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2膝への長年の負担
(オーバーユース)スポーツ活動・長年の立ち仕事や正座・重いものを持つ作業により、繰り返す膝への負担が蓄積して関節の摩耗につながります。
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3肥満
膝関節には体重の3〜5倍の力がかかるため、体重増加は直接的な危険因子になることが文献でもいくつも報告されています。体重が増えすぎないように減量することは症状改善・関節破壊の悪化を防ぐためにも重要です。当院では、運動療法・薬物療法を組み合わせて減量をはかる痩身治療の提案もさせていたいております。
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4膝の変形(O脚・X脚など)
膝のO脚やX脚の変形があると、膝の内側・外側にばかり負担が集中して半月板・軟骨が傷んですり減ることにより痛みが生じます。膝の変形に伴って変形性膝関節症が生じ、保存療法にて症状が改善しない場合には、関節を温存して治療する膝周囲骨切り術の良い適応になります。
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5筋力低下
特に、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)や、股関節の外側の筋肉(中殿筋)の力が弱くなると、膝関節にかかる負担が増加するために変形性膝関節症の進行と関係すると言われています。当院ではリハビリテーションの際にこれらの筋力の計測を行ったり、歩行解析(iMuOne)を行ったりすることにより、目に見える形での評価を行ったうえでリハビリテーションを進めていきます。これにより、患者様のリハビリテーション意欲の向上、ひいては筋力改善につながると考えております。
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6過去のけがや病気
半月板損傷・膝靱帯損傷(スポーツや事故でのけが)・膝の骨折や脱臼によって時間の経過とともに変形性膝関節症に至ることがあります。
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7関節リウマチや他の病気
関節リウマチなどの病気で関節炎により関節が破壊されると二次的に変形性関節症になることがあります。この中でも、近年関節リウマチについては適切に薬物治療を行うことにより関節破壊に至るリスクを減少させることができるようになってきています。当院では、関節リウマチの薬物治療についても対応させていただいております。
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8遺伝的な体質
生まれつき軟骨・骨の質が弱い家系的な体質により、変形性膝関節症が発症しやすいと言われています。
「年齢のせい」だけではなく、日常生活の積み重ねが原因になります。原因は一つだけでなく、複数が重なり合って起こることが多いです。早めに対応して治療を行うことによって進行を防ぐこともできます。「自然に起こる老化現象の一つ」と考えることなく、膝関節専門医を受診して早期から治療をすることをお勧めします。
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早期変形性膝関節症
早期変形性膝関節症(early knee OA)は、まだ関節の変形やレントゲン上の変化がない段階で、「膝の痛み」やそれに伴う腫れ・歩行の障害が出てくる状態です。レントゲンではほぼ異常がないので整形外科を受診しても異常がなく放置されていることもしばしばありますが、MRIを撮影すると半月板や軟骨の損傷が認められます。
早期変形性膝関節症は、放置すると関節の破壊が進行していく可能性が高く、10年の経過の中で人工関節置換術に至る可能性も高い事が近年明らかになってきており11,12、早期に診断をして適切な治療を受けることが重要です。レントゲンに異常がないけど膝の痛みが続いている場合は、当院では近隣の連携医療機関で早期にMRI撮影も可能ですので、是非一度受診ください。
変形性膝関節症の治療
保存療法
(手術をしない治療)
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1体重を減らす
肥満は年齢や性別に関係なく、変形性膝関節症の主要なリスク因子であることが多くの研究で確認されています。
肥満と変形性膝関節症の関連をみた国際論文18,22,28,29
- リスクは約3-4.5倍
- BMIが5kg/m2増加するとリスクが35%上昇
- BMI≧35になると最大7.5倍のリスク
従って、体重管理は変形性膝関節症の単なる補助ではなく、発症予防・進行抑制の重要な要素です。
実際、減量によって以下のことがわかっています。減量による変形性膝関節症に対する効果をみた国際論文2,13,22
- 体重を10%程度減らすと、膝の痛みや機能が顕著に改善
- 5%以上の体重減少でも、膝の痛み・機能が改善
- 体重が1kg減るごとに歩く時の膝に対する負荷は4kgf減少
従って、目安として「現在の体重の5-10%の減量」が推奨されています。また、減らす速度としては「週0.2-0.3%の体重減」が安全かつ有効とされていますので、少しずつ継続的に体重を減らしていくことが大切です。
減量方法は、食事療法だけでなく、運動療法(リハビリ)も組み合わせて行うことが望ましいと考えられています。当院では単にリハビリテーションを行うだけでなく、食事・運動・薬物療法を組み合わせて減量する痩身療法(保険外治療)も行っております。 -
2運動療法(太ももの筋肉を鍛えることで膝を守る)
変形性膝関節症に対する運動療法(リハビリテーション)は以下のことがわかっています。
変形性膝関節症と膝まわりの筋力(特に大腿四頭筋)との関係をみた国際論文9,19,20,26
- 筋力訓練は変形性膝関節症の発症/進行予防に有効・推奨
- 特に女性では、大腿四頭筋筋力強化が進行予防に重要
従って、膝まわりの筋力を維持することが変形性膝関節症の治療としても大切です。 当院では、変形性膝関節症の患者様に対してはまず、
- 歩行解析(iMuOne)
- 筋力評価
を行ないます。その上で運動療法(リハビリテーション)を行うことによって、改善効果の評価を行っています。ただリハビリテーションを行うのではなくて、しっかりと目標を持って行なっていくことにより、患者様が達成感を持ってリハビリテーションを受けていただけることを目標にしております。
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3痛み止め(内服薬、湿布/外用薬)
変形性膝関節症に対して痛み止め(NSAIDs等)の内服や湿布/外用薬を用いた際の有効性についての報告25,27もあります。しかし、長期内服による副作用も報告されているので、いたずらに長期間使用することは推奨されません。近年、内服薬に代わってNSAIDs外用薬(湿布ではなくて、貼付することで全身に効果あり)が販売されており、NSAIDsによる副作用を減少させる効果が期待されています。
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4ヒアルロン酸の関節内注射
ヒアルロン酸の関節内注射については以下のような効果が報告されています。
ヒアルロン酸関節内注射の効果をみた国際論文3,14
- ヒアルロン酸注射は痛み・機能改善効果がある
- 副作用も少なく安全性が高い
- 投与回数については明確な基準はないが、回数が増えると副作用のリスクは高くなる
ヒアルロン酸関節内注射は安全性が高く、痛みを和らげる効果もありますが、効果が乏しい場合は手術療法や他の治療法を考慮することもADL/QOL維持のためには必要かもしれません。
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5杖や膝装具の使用
変形性膝関節症に対して杖やサポーターもよく用いられますが、これについてもいくつか効果が報告されています。
杖/サポーターの効果をみた国際論文1,6-8,15,16,23
- 杖の使用によって痛みが緩和、鎮痛薬使用量減少
- 杖の使用により、膝内反モーメントピーク値減少(iMuOneを用いた歩行解析・膝内反モーメント計測)
- 膝の変形に応じた適切な膝装具は痛みが緩和、鎮痛薬使用量減少
- 適切な装具選択が大事
当院では患者様の足の形に合わせて、オーダーメイドの装具を作成可能です(保険診療)。興味ある方はお声掛けください。
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6バイオセラピー(PRP療法など、保険外治療)
近年、変形性膝関節症に対するPRP療法などのバイオセラピーが注目されています。その普及に伴って、エビデンスも蓄積されてきています。
変形性膝関節症に対するバイオセラピーの効果4,5,10,21
- 6-12ヶ月でヒアルロン酸やステロイドの関節内注射と比較して有意に痛みや機能改善
- 重篤な副作用はほぼ報告されていない
- 初期から中等度の変形性膝関節症の患者に対して、痛みの中・長期緩和目的での治療選択になりうる
- 「万能な治療ではない」ことを理解した上で費用対効果を考慮する必要がある
当院ではセルソース社製PFC-FDを導入しております。詳しくはバイオセラピー(保険外診療)で説明しております。ご興味ある患者様はご相談ください。
手術療法
変形性膝関節症の手術適応
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そもそも「手術適応」って?
「手術適応」とは、手術をすることによって得られる利益(痛みの改善・生活の質の向上など)が、リスクより大きいと判断される状態です。
膝関節の痛みが強くなっていたり、日常生活に支障をきたしたりしている方は、手術を考える時期かもしれません。逆に、いくら画像的に関節が傷んでいたとしても、痛みが強くなかったり日常生活に支障をきたしたりしていないのであれば必ずしも「手術適応」ではありません。
また、同じ状態であっても、患者様個々が求めている目標によって「手術適応」は異なります。例を挙げると、歩行の際にはそれほど痛みがなくて、走ったりスポーツをしたりする際に痛みが出てくるような状態の場合、運動をしないのであればそれほど日常生活には支障はないので「手術適応」になりませんし、逆にスポーツ愛好家の患者様であればスポーツできる状態が目標ですので「手術適応」になることもあります。
このように「手術適応」は個々の患者様によって異なりますし、後述するように手術の内容も異なってきますので、迷ったときは一度膝関節専門医の受診をお勧めします。
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どのような時に手術を
考えるのか?
手術を検討する目安
- 保存療法(薬・注射・リハビリ)で効果が不十分な場合
- 痛みのせいで歩行・階段昇降などが困難な場合
- 膝関節の動きが硬くなり、可動域が制限されてきた場合
- 膝の変形が進行し、見た目でもわかるくらいO脚/X脚になっている場合
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手術をしないと
どうなりますか?- 放置すると、膝の変形がさらに進行する可能性があります。
- 痛みのために運動量が減り、筋力低下や全身の健康状態悪化(ロコモティブシンドローム・サルコペニア)を招くこともあります
- 早すぎる手術は必要ないですが、時期を逃すと選択できる術式選択の幅が狭くなったり、治療目標が変化したりしてしまいます。
適切な治療選択のためにも早めに膝関節専門医受診することをお勧めします
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変形性膝関節症に対する
手術治療の種類とその適応手術を検討する目安
手術
方法適応となる患者様 関節鏡視下手術(半月板切除等) 早期の患者様で、半月板症状(ロッキングなど)がメインの方 膝周囲骨切り術(HTOなど) 内側または外側に限局する変形性関節症、比較的若年・活動性が高い方 人工関節単顆置換術
(UKA)内側または外側に限局する変形性関節症、どちらかというと活動性が高くない方 人工関節全置換術(TKA) 中等度から重度の変形性関節症 -
手術適応に関する
エビデンス・ガイドライン日本整形外科学会ガイドライン(2023年改訂版)
- 「保存療法を行なっても日常生活動作に支障がある場合、手術を考慮する」とされています。
OARSI (世界変形性関節症会議)ガイドライン(2022年更新)
- 高位脛骨骨切り術(HTO)は、若年・活動的な内側変形性関節症の患者に適応あり
- 人工膝関節置換術(TKA)は、他の治療法で効果が得られない末期変形性関節症患者に対して推奨
その他文献的考察
- リハビリテーションなどの保存療法の結果、1年後26%が手術に移行した⇄74%は手術不要であった24
まとめ
- 変形性膝関節症は「年齢+生活習慣+体質」が関わって起こる病気です。
- 進行を防ぐためには早めに対応を行うことが大事です。
- 症状が出たときは我慢せず、早めに整形外科、中でも膝関節専門医の適切な診断と治療を受けましょう。
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執筆者
ひらまつ整形外科
難波ひざスポーツ
クリニック 院長
平松 久仁彦
(ひらまつ くにひこ)- 医学博士
- 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医
- 日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
- 日本医師会臨床研修指導医
- 日本膝関節学会評議員
- 医学博士
- 日本整形外科学会 整形外科専門医・指導医
- 日本スポーツ協会公認 スポーツドクター
- 日本医師会臨床研修指導医
- 日本膝関節学会評議員